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遺言書の検認

大切な方が亡くなり、遺言書の有無を調べた結果、公証役場で作成された公正証書遺言「以外」の遺言が見つかった場合、その遺言を保管していた人などは、遅滞なく、家庭裁判所に「検認」の手続(審判申立て)を行うことになります。

この検認とは、各相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

なお、遺言書の保管者等が、遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所以外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処することとされています(民法第1005条)。
 

検認手続の一般的な流れ

  • 家庭裁判所に対する遺言書検認の審判申立て
  • 相続人に対する検認期日の通知
    (申立てから概ね1か月。裁判所から申立人・各相続人に通知あり)
  • 家庭裁判所において、出席している相続人(代理人でも可)の立会いの下で開封・検認
    (申立人を除き、相続人全員が揃わなくても実施)
  • 検認済証明書を請求の上で、検認済証明書と共に遺言書を受領

検認の申立方法

遺言書の検認の申立方法をみてみましょう。

検認が必須の遺言 自筆証書遺言等(公正証書遺言以外の遺言)
但し、「法務局における自筆証書遺言の保管制度」を利用の遺言書を除きます。
申立人 遺言書の保管者、遺言書を発見した相続人
申立先 遺言者(被相続人)の住所地を管轄する家庭裁判所
必要な書類 遺言書の検認に関する申立書(家事審判申立書)、遺言者の出生時から死亡時までの全ての(除籍、改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)、相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書)等

(申立添付書類は裁判所によって異なる場合があります。また、相続人が誰になっているかによって求められる書類が異なります。)

手数料 収入印紙800円分、郵便切手代(連絡用)、検認済証明書の申請に収入印紙150円が必要
その他 ○検認当日には必ず、遺言書と申立人の印鑑が必要です。

○申立添付書類は、原本の提出が原則です。
ただし、原本還付申請書(上申書)と共に、原本のコピーの提出により、原本の返却してもらうことが可能な裁判所もあります(不動産相続登記などにも流用できますので、できるだけ原本還付を求めておきましょう。)。

○申立書には申立人や相続人、遺言者の住所地の記入欄が設けられています(提出そのものは不要なケースが一般的ですが、正確な記入のためには、申立人や相続人の住民票、遺言者の住民票の除票などが必要)。

自筆証書遺言のデメリット

自筆証書遺言については、そのままでは遺言執行できず検認手続が必要です。

このため、よく耳にすることですが、

遺言執行に時間が掛かってしまう点

  • 相続人が多い場合などには、戸籍謄本の確認・収集や、裁判所への申立てから検認手続を終えるまでに少なくとも1、2か月を要します。
  • その結果、遺言執行者が指定されている場合でも、遺言に従った遺産分割までに2、3か月掛かってしまいます。
  • 検認には相続人が立ち会う点

  • 相続人には裁判所から検認期日が通知されますが、出席するか否かは相続人の判断に任せられています。
  • 申立人のほかには、指定された検認期日に相続人が全員揃っていなくても実施されますが、各相続人に平等でない遺言内容であれば、身内同士とは言え、気まずいかもしれません。
  • このほか、

    • 検認を経た遺言であっても、内容・形式に不備があれば、遺言の効力自体が否定されることや、
    • 遺言書の有無の調査では発見されず、発見されても紛失や偽造・変造のおそれもあり得ます。

    鹿児島の相続相談、遺言書のことなら

    今回は、

        自筆証書遺言の場合には検認手続が必須とされていること、このため遺言には、公正証書遺言に比べて、その執行について残された相続人の手間と時間を必要とすること、
        作成時に判断能力がなかったのではないかなどのあらぬ疑いが持たれ、場合によっては、遺言そのものの効力が否定されたり、相続人間に無用の紛争が生じること、

      もあり得ることを知っておいていただければよろしいかと思います。

     
    しかし一方で、自筆証書遺言は、求められている形式に則りさえすれば、費用の点から言っても気軽に作成できます。

    公正証書遺言をいずれは作成することを強くお勧めしますが、書こうとする内容が複雑なものや遺留分への配慮が必要なものなど別にして、まずは自筆証書遺言をお書きになってみるのも良いかもしれません。

    (それでも、遺言者にとって、第一及び第二順位に当たる推定相続人がおらず、第三順位の推定相続人(兄弟姉妹等)しかいない場合は、例えば、検認のために関係人の戸籍謄本等を取得するだけでも相当大変ですから、公正証書遺言の作成を強くお勧めいたします。)
     
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