今回は、相続財産の相続する者が確定した後の、土地・建物など不動産の名義変更についてご紹介します。
相続登記とその申請先
不動産の相続手続は、具体的には、不動産の所在地の管轄法務局(登記所)に、登記申請書と必要書類を提出する登記申請によって行います。
このことを、相続や遺贈を含めて相続登記と呼んでいます。
管轄法務局は、不動産の所在地ごとを決められていますので、相続した不動産が複数にわたっていれば、相続登記の申請先は複数になることがあります。
また、登記申請は、登記されている不動産ごと(もちろん土地と建物も別々に)に行うことになります。
なお、相続登記申請先の管轄法務局が複数にわたっていても、郵送による申請や、インターネットを利用してのオンライン申請(ただし、電子証明書の取得やパソコンの 環境設定などの事前準備が必要)もできますので、わざわざ申請者が個々の法務局の窓口に出かける必要はありません。
このため、相続する不動産の相続登記先が複数の法務局となった場合であっても、相続登記の専門家である司法書士はお近くで探すことも、又は当該不動産の所在地の管轄とは無関係の司法書士に依頼することが可能です。
相続登記のみを依頼するのであれば、インターネット検索などで探してみるのもいいでしょう。
相続登記の申請書類・費用
前後しましたが、不動産の相続手続とは、個々の不動産について、相続又は遺贈を原因とする所有権移転のあったことを登記する手続のことになります。
管轄法務局に行う登記申請は、相続人などが、登記申請書のほか、相続・遺贈のケースごとに応じた書類を提出して行います。
主な提出書類
- 亡くなった方(被相続人)の戸籍謄本(出生から死亡まで全て)
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人全員の住民票
- 遺言執行者がいる場合、その者の印鑑証明書、権限の分かる書面
- 不動産の固定資産評価証明書(登記申請年度のもの)
- 遺産分割協議書
- 遺言書(検認が必要なものは検認後のもの)
- 登記識別情報(又はいわゆる登記済証。ただし遺贈の場合)
- このほか登記実務上、相続関係説明図を作成することが多い。
費用
相続登記の申請にかかる費用は、登録免許税という国税になります。
その額は、不動産の価格(通常は固定資産課税台帳の価格)×0.4%
(例えば、申請対象の土地の価格が1千万円であれば、登録免許税は4万円)
なお、相続人以外の者に、「相続させる」又は「遺贈する」との遺言がある場合(遺贈による所有権移転登記申請の場合)は、登録免許税は0.4%ではなく2%です。
登録免許税は、登記の申請書類ごとに収入印紙を貼って納付することになっています。
法務局窓口で申請書類一式を確認してもらう際、併せて納付必要額を教えてもらった後に収入印紙を購入すれば、誤りはないでしょう。
収入印紙は、法務局内にある販売先や、郵便局で購入することができます。
登記申請時には登録免許税のほか、司法書士に登記申請を依頼した場合は、別に報酬がかかります。
相続登記の完了
管轄法務局に登記申請を行って1~2週間後には、登記済みとなります。
なお、申請内容に不備がある場合は、法務局から連絡が入りますので、指導に従って、申請を補正又は取下げます。
これで、相続した不動産について所有者としての名義変更、すなわち相続手続が完了です。
新所有者には、法務局から登記識別情報(従前、権利証(登記済証)と呼んでいたもの)が発行されますので、大事に保管します。
念のため、新しい全部登記事項証明書(従前の登記簿と呼んでいたもの)を取得しておきましょう。
相続した不動産はぜひ名義変更を
ここまで、不動産の相続手続(登記の名義変更)をご紹介しました。
これまで、不動産の相続手続を行っていない方がいらっしゃいました。
特に複数回相続が発生していながら何世代にもわたって名義変更の行われていない不動産を引き続くことになった方は本当に困っていらっしゃいます。
最近相続することになった方には、できるだけ早く名義変更を行っていないと、将来どのようになるかをお話しすると理解していただけます。
遺産分割協議が面倒なので、とりあえず不動産を共有している方々もしかりです。
この相続手続には決して少なくない費用がかかります。
ましてや、ほとんど無価値の不動産であれば、わざわざ名義変更するのを躊躇するも分かります。
相続登記を行う法律上の義務、罰金などもありません。
しかし、今このときに不動産の相続手続を行わないで、いったい誰が行わなければならないか、将来引き継ぐ方がどのように思うかを考えていただけばと考えます。
このことは、また回を改めて書きたいと思っています。
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