先の国会(平成30年第196回通常国会)で成立した、民法とその関連法案では、年齢18歳をもって成年とする「成年年齢の引き下げ」のほか、当センターが得意としている、いわゆる相続法の改正が行われました。
今回の改正は、配偶者法定相続分の引き上げ(配偶者の相続分がそれまでの3分の1から、2分の1への引き上げ)、寄与分制度(被相続人の事業を無償で手伝うなどにより、相続財産を維持もしくは増加させることに特別に寄与した場合に、相続人限定で認められるもの)の導入が行われた昭和55年の改正に次ぐ、相続法制の大幅な改正といえます。
具体的に例示すると、
- 相続開始時における「配偶者居住権」の新設、
- 婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の遺贈又は贈与について、相続開始時にも、その遺贈等を遡って相続財産とみなさないようにする(その不動産を遺産分割の対象から除外できる)規定の新設、
- 遺産分割協議前であっても、各相続人が単独で、預貯金を一定額引出し可能とする「預貯金仮払い制度」の新設、
- ①自筆証書遺言と一体となる財産目録について一定の要件の下、自署することを要しない規定の新設(自筆証書遺言の方式の緩和)のほか、②自筆証書遺言を法務局において保管する制度の新設、
- 遺留分制度に関する改正(物自体の返還の権利を原則としていたこれまでの遺留分減殺請求権について、金銭での返還を求める権利である「遺留分侵害額請求権」の導入など)、
- 相続の効力等に関する改正(①法定相続分を超える部分については、登記等対抗要件がないと第三者に対抗できないとの規定や、②遺言により相続分の指定などがあったとしても、被相続人の債権者は、法定相続分の割合で請求できるという規定の明記)、
- 特別寄与料制度(これまでと異なり相続人以外でも、被相続人の財産維持や増加に貢献した場合、それに見合った金銭の請求を可能とする仕組み)の創設
などです。
なお、これらの制度は、記載時(2018(平成30)年10月)現在で未施行(2020年4月1日までに順次施行予定)です。
→ いよいよ改正“相続法”が段階的に施行されます(2019年1月5日投稿記事)
施行後の影響は大きいと思われ、また、運用していく中でも良し悪しあると思われますが、相続・遺言に関するお手伝いをしている当センターとしても、新制度の周知、これを踏まえたサポートができるよう努めて参ります。